🐮子牛たちの旅立ち前夜。セリ準備と感謝の1日

牛のこと

いよいよ明日はセリの日。
毎日見てきた子牛たちが、新しい場所へ旅立つ。
朝からいつも通りの作業だけど、どこか胸の奥がざわつくような、不思議な気持ちになる。

今回の出場は2頭。
9ヶ月の雌と、8ヶ月の雄。
どちらも母牛譲りの落ち着いた性格で、毛艶もよく、よく食べて、よく動く。
ここまで大きく育ってくれたことが、何よりうれしい。

今日は朝からセリ前の大切な準備。
牛たちをきれいに洗って、毛を乾かして、ブラシで丁寧に整える。
普段はやんちゃな雄の子も、今日はどこかおとなしい。
まるで明日をわかっているような表情をしていた。

1頭1頭を洗いながら、いろんな瞬間がよみがえる。
生まれたときの鳴き声、初めて立ち上がった夜、ミルクを飲んでくれた朝。
元気に走り回るようになった日も、どれも昨日のことのよう。
この数ヶ月はあっという間だったけど、濃い時間だった。

家族も手伝ってくれた。
子どもたちはブラシを持って「ピカピカにしてあげる!」と笑いながら牛を撫でていた。
そんな姿を見て、少し胸が熱くなった。
「この子、明日行っちゃうの?」と聞かれて、
「うん、新しい場所で元気に育つよ」と答える。
寂しさの中に、誇らしさがある。

夕方には書類を確認して、耳標をチェックして、明日の準備が整った。
きれいになった牛たちは、静かな牛舎の中でゆっくりと休んでいる。
外では風が気持ちよく吹いて、空が少し赤く染まっていた。
旅立ちの前夜にふさわしい穏やかな時間だった。

今日という日は「感謝」でいっぱい。
元気に育ってくれた牛たちに。
支えてくれた家族や仲間に。
そして、日々の積み重ねが確かに形になっていることに。

明日は、いよいよセリ本番。
笑顔で見送ってあげよう。

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